あおいいぬ

漫画の感想が主。

マギ最終回を受けて

 

始めに、原作者先生様、携わった方々、作中のキャラクター方、 八年間の連載本当にお疲れ様でした。

未来への希望を持たせるハッピーエンドで、アリババくんとモルさんの結婚式もしてくれて、円満な最終回だったと思います。
ですが置いてけぼりになった問題がたくさんあり素直にハッピーエンドと享受する気持ちにはなれずにいます。が、その置いてけぼりになった問題を全部解決する手立てを考えてみても、それ以前に読んでいてずっと引っかかっていた部分があり、それが素直に読んでいられない大きな原因なんだろうなという結論に行き着きました。

この気持ちは留めておくのが正解なんでしょうが、一度整理しまとめ、公開しておきたい気持ちがあるためここにしたためます。
感想や考察と言うにはあまりにも個人的で卑屈なので遺書と呼びます。

言わずもがな批判的な内容になりますので、閲覧は自己責任でお願いします。

 

 

 

 


私はマギのキャラクターで一番好きなのが練白龍です。
きっとそれも助けて、マギの「価値観のぶつかり合い」という部分に惹かれその扱われ方に注目していました。

しかし、結果「価値観のぶつかり合い」はどちらか一方に偏るものだったと思いました。

登場してきた中で堕転した人間は、序盤は理不尽な運命を恨みアルサーメンに唆され他に選択肢の無い状況に誘導された人間でした。
その状態を外部の力で打開し堕転から戻すのは、その人間の人生に新しい選択肢を与えるというもので意思が尊重されているように思います。
しかし白龍は運命を恨みはしたものの、堕転はあくまでも自分の意思で選択したものです。その上白龍は堕転=不幸などと言われる筋合いは無いと言ってくれました。

ですが結局やりたかった復讐を遂げたもののアリババくんを殺しジュダルを喪い紅炎さん達を国から追い出し残ったものが結局虚無だった、と気づき黒ルフから白ルフに戻ったのを見た時、やってきたことが全て無意味だったかのように見えてしまいました。
実際それがあったから「正しさは変わる」ということに気づいたり自分のすべきことを見つけたりと全くの無意味だったわけでは決して無いんですが、やはり「虚無」と言われてしまうとやってきたことが無駄だったかのような言われ方をされていると感じてしまいます。
リアルタイムで本誌を追いそこに引っかかりながら引きずっていたら、vsブァレフォールにて「初めから姉と力も危険も責任も分け合っていれば良かった」という旨のことを言われて復讐に燃え独りで奮闘していた白龍は否定される為に在ったのか、結局復讐に燃え進んでいる状態は虚しいものでしかなく、世界の為に身を尽くすことが"良いこと"でそれこそが作中における正しい道だったのか…という気持ちが強かったです。

希望を言いますと理不尽な運命を受け入れられられないままで良かったんじゃないか、という思いがあります。
別作品の言葉で失礼しますが、「憎み続けるのはなんて難しいんだろう」という風に何かを怒り続けること、憎み続けることは物凄く疲れますし本当に難しいことなんですが、けれど少しも変化してくれなかった世界を受け入れてしまった事実がとても悲しいんです。
運命を恨み続けていてもこの世界で堂々と胸を張って生きることが出来ると肯定して欲しかったです。
自分の意思で堕転して、その状態を不幸じゃないと言ったのに、結局堕転はし続けてはいないのを見ると堕転したままではダメだったんだなあ…と思ってしまいます(ジュダルは運命を恨んではいるものの自分の意思を持たぬまま堕転させられましたし、結果自分の生き方には満足しているので白龍の堕転問題と同列に語るべきではないと考えています)。
ただのいち読者が本当に我儘だなと我ながら思いますが、白龍に限らず堕転した側の人間に肩入れしがちなので、堕転するまでに追い詰められてきた諸々のことを思いその結果堕転したことを考えると堕転はやはりしない方がよかったと言われるとやっぱり悲しいんですよ。

そしてここまで書いておいてという感じなのですが、白龍のしたことは事情がどうであれ全肯定されるべきではないしものによっては許さないと個人的に思うものがあります。
国を巻き込み国民を巻き込み戦争をすることもですが、煌帝国の為に生きる決意をしたのに三年後、アルサーメンを弱体化させた後に戻ってすぐしたことが国に戻るでは無かったことは正直納得がいっていません。
様々な事情があるにせよ、行動が決意に伴っていない描写を説明なくさらっとされてしまうとそれだけ薄っぺらく感じてしまいますので…。

マギの大きなテーマは「相手との違いを受け入れる」です。
ですがそれを描く上で提示された「価値観のぶつかり合い」が最終的には一方的であったことがテーマに対する答えとして個人的に納得のいくものではなかったのでずっと引っかかっているんだろうと思います。
前回の記事と同じ締めになってしまっていますが、その辺は解決したものとして完結したのでそれ以上は望めないと思うので。
ストーリーそのものではなく、何かの扱われ方や描かれ方で引っかかり物語自体を素直に受け入れられない状態はとてもつまらないという自覚はあります。ですがやはり作品が好きなのでこの受け入れられない状態と向き合わなくてはと思い遺書をしたためました。遺書と言いつつ感情を断ち切れてませんがそこはいつか自分自身と和解出来ればいいと思います。

繰り返しになりますが、八年間の連載本当にお疲れ様でした。そして、ワクワクする冒険をありがとうございました。