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kisarasaraのブログ

マギの本誌感想を中心に弱虫ペダル本誌感想とかも。

特別じゃないからこそ【マギ322夜までの感想】



今のシンドバッド、見ていてすごい気持ちいいんですよね。
思えば幼い時からずっと家族のためにその身を捧げ、次には世界のためにその身を捧げてきた。運命が見える力を自分のためより何かのために使ってきた場面が多いかと思います。
だからこそ運命が見える力を失くし始めたと認識している今「自分のため」を命を懸けてやっているのがすごく生き生きして見えるんです。

ずっと運命が見えるという特別な力を持っていたという自覚から、「自分にはやらねばならないことがある」「特別な自分にしか出来ない」という使命感に囚われていたんですよね。

自分は神の器だ、何百年何千年先のことまで考えて未来永劫続く平和な世界に作り変えねばと追い詰められていたところにただの王の器だ、だからそんな先のことまで背負おうとせずにいまの平和を守ることに専念するべきだ、と喝を入れられて「特別ではない、ただの人間、王の器だ」と気づいた瞬間に使命感から解放されました(王の器も十分特別なんですけれど)。

しかしながら、そこを解放したジャーファルさんの意図するところとは真逆の方向に行ってしまったシンドバッドの構図って滅茶苦茶残酷ですね…。
ただ今の夢を叶えた後の世界を今在る大切な人々と守りたいがためにシンドバッドのことをただの人間なんだと止めたジャーファルさんなのに、その「ただの人間」だとわかったシンドバッドはただの人間として、特別ではないから背負うものも何もなくやりたいようにやる道を選んだんですよ。

「世界のため」という大義名分を「自分自身のため」という欲に切り替えて。

自分のためとは言いつつも、結局世界を変える、世界のための願いということは変わりないのもなんだか複雑な気持ちになりますね。
ソロモンのことを無責任だと思ったが故の執念なんでしょうか。それとも理不尽を許せない心からなんでしょうか。

どちらにせよその想いはシンドバッドの正義感から来るものだと思うので、ユナンの「いい奴なんだ」という評価がとても心に響きます。

どうしようもない理不尽や人々の間に起こる争いを起こさないようにするのが、誰かのためではない自分自身のための願い事っていうのがどこまでも人にために尽くしてしまう性なのかなと思うと本当にいい奴なんだと思います。
やり方というか思考はエゴ全開なんですけれど。
しかしエゴ全開だからこそ自分の独りよがりっぷりに気づかされた時に躊躇いなく突き進むことを選べたんですから、本当マギって作品は「なるようにしかならない」作品だと思います。
キャラのこれまでの経験による感情の変化の描き方が大変好きなんですよね。
キャラがその時にどういう状況でどういう考え方だからこういう結論になったんだ、もしくは今の状況でそういう結論はこのキャラは出せないだろうという、結論だけ見るのだけではなく過程もしっかり重視出来るようになっていて。

またその逆で「ここをこうしていれば上手くいったのに…!」という救いを求められないのですが。手厳しい。けれどそこが好き。

322夜の締めが衝撃的すぎて続きが本当気になります。
何もかも捨てて自分の望みのためだけに来たとはいえ文字通りに身を削りまくっているので聖宮から戻った時のことを考えても怖かったのにそれを更に上乗せする衝撃を…。

しかしここにきて聖宮の番人として長い間聖宮に留まっていたウーゴくんの内面に展開になるのでは?という楽しみもありますね。
初期の頃から登場していたのにアルマトラン編以外で心情がわかる場面が殆ど無かったので(あえてかと思いますが)。

ここから初期からの登場キャラの謎の解明なり心情の掘り下げがあることに期待して…!